競輪の落車について徹底解説!払い戻しや返還・発生しやすいレースの特徴などをご紹介!
競輪予想サイト解体新書の検証担当「近藤 宗康」です。
今回は、競輪の落車事故について紹介します。
競輪は、1着での勝利を目標に自転車で時速70kmものスピードを出して争う競技。
選手達はわずかなタイム差を縮めようと全速力で走りますが、その分「落車」という事故のリスクが常につきまといます。
競輪での落車は日常生活で自転車の怪我とは異なり、命に関わる事故にもなりかねません。
今回は、そんな競輪の落車が起きた際の払い戻しや失格などをご紹介していきます。
実際の落車事故についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
落車について
競輪の落車とはその名の通り、自転車競技において選手が転倒し、自転車から落ちてしまうこと。
実際に公式用語として、競輪やオートレースで使用されている言葉です。
いくら自転車の操縦に慣れている競輪選手であったとしても、競輪用の自転車にはブレーキがついていません。
そのため、棄権な場面に出くわしても立ち止まることができない作りになっています。
また、通常の自転車タイヤの太さが35mmに対し、競輪用自転車のタイヤは22mmほど。
他の選手と接触するだけでも落車してしまう確率は、極めて高いと言えるでしょう。
落車してもゴールすれば完走判定
仮に競輪のレースで落車が発生してしまったとき、その選手はどうなってしまうのでしょうか。
競輪のルールの中に敢闘の義務という項目が存在しています。
選手は、暴走、過度の牽制等をしてはならず、勝利を得る意志をもって全力を尽くして競走しなければならない。
–KEIRIN.jpより引用-
落車した選手がまだ動ける状態であれば、そのまま自転車に乗りレースに戻ることができます。
その反面、落車した選手が大きな怪我をしていない状態でレースに戻らなければ、レースを放棄したという扱いで反則処分が下されることに。
競輪において選手が落車したとしても、その選手のレースは終了してしまうわけではありません。
落車後に棄権した選手の賞金は?
競輪選手は、1着以外の順位でゴールしたとしても賞金を獲得することが可能です。
例えば、KEIRINグランプリのレースでは最下位の9着でゴールしたとしても、850万円もの賞金が設定されています。
落車後に棄権した選手は賞金を全額受け取ることはできませんが、末着賞金の80%が支給されることに。
ただ、この落車が妨害行為によるものだと判断された場合は、反則行為となり賞金が支払われることはありません。
競輪のルール上、故意的ではない落車による棄権に対して、しっかりとした措置が取られていると言えるでしょう。
落車は払い戻しや返還の対象にならない!
競艇はスタート時のフライングがあった場合は返還されますが、スタート後の転覆等については返還されることはありません。
では、競輪で買い目に入れた選手が落車してしまった場合には払い戻しや返還はあるのでしょうか。
結論から申し上げると、競輪では落車が発生した場合の車券の払い戻し・返還は行われません。
これは競輪において、選手が落車した時点でレースが不成立となるわけではないからです。
また、八百長のような形で選手が故意的に落車させないようにするための対策とも考えられるでしょう。
これは出走選手全員が落車するなど稀なケースを除いて、失格選手の車券の返還がされないことと同じ考え方です。
公平かつ透明性の高いレースを実現するための決まりとも言えるでしょう。
落車の確率が急上昇!発生しやすいレースの特徴!
落車が発生しやすくなる原因は、様々あります。
その中でも、特に落車が多くなりやすい条件を以下4項目にまとめました。
- 雨が降るレース
- 級班上位の選手が出走する
- 333mバンク
- レースグレードが高い
上記いずれかの条件でレースが行われる場合は、あらかじめ注意するようにしましょう。
それぞれ解説していきます。
雨が降るレース
全国の競輪場のほとんどが、屋外バンクとなっております。
そのため、レース中でも雨や風などの天候による影響をそのまま受けることに。
以下に天候毎による落車率をまとめました。
天候 | 落車率 |
---|---|
晴れ | 6.38% |
曇り | 6.45% |
雨 | 7.12% |
雪 | 5.62% |
雨が降った際の落車率が7%超えと一番高くなっていることが分かります。
この背景に雨が降ることでバンクが濡れ、自転車のタイヤが滑りやすくなることと視界が悪くなることが挙げられるでしょう。
風による影響も少なからずありますが、雨による落車の危険性を恐れ、実力は十分に発揮できないことも考えられます。
レース開催地の天候を事前に調べることで、落車が起こりそうなレースを避けるのが得策と言えるでしょう。
級班上位の選手が出走する
落車の確率は、出走選手の級班によっても変動します。
以下のS級レースとA級レースそれぞれの落車率をご覧ください。
レースの階級 | 落車率 |
---|---|
A級 | 5.62% |
S級 | 9.48% |
A級よりもS級の方が、落車率が高いことが分かります。
これは、S級戦に出場する選手の能力が優れていることで、実力が拮抗しやすいからだと言えるでしょう。
競輪での戦い方を熟知したS級の選手がレースで勝利するには、わずかな隙やチャンスをつくことが必要です。
そのため、他の出走選手と接触してしまうことが多くなり、落車や転倒に繋がってしまいます。
S級には実力のある人気選手が数多くいますが、その反面に落車のリスクも高いことを念頭に入れておきましょう。
333mバンク
国内には333m、400m、500mと主に3種類のバンク周長が存在しています。
このバンクの長さによっても、落車する確率は異なることに。
まずは、それぞれのバンク毎の落車率をご覧ください。
バンクの周長 | 落車率 |
---|---|
333m | 6.61% |
400m | 6.45% |
500m | 6.48% |
最も落車率が高いのは、333mバンクです。
333mバンクは、他のバンクより1周多く走る必要があります。
その分コーナーを曲がる回数も増えるので、自然と駆け引きが多くなることに。
コーナーで捲りを仕掛ける際は、相手選手の前方を遮る形になるので、接触しやすくなります。
相手選手を抜かそうとしたところ、接触し転倒してしまう可能性も十分に考えられるでしょう。
333mバンクで捲りを積極的に仕掛ける選手が出走するレースがある時は、注意するようにしてください。
レースグレードが高い
レースグレードによっても、落車する確率は異なります。
F1〜G1までのグレードによる落車率は、以下の通りです。
グレード | 落車率 |
---|---|
F1 | 9.02% |
G3 | 9.89% |
G2 | 12.80% |
G1 | 13.01% |
グレードが上がるにつれ、落車率も高くなっています。
G1レースにおいては、F1レースよりも約4%も落車率が高いです。
これは出走する選手の級班にもよりますが、レースグレードが上がるにつれ獲得賞金も増えることが関係していると推測できるでしょう。
レースの賞金額が多いと、普段以上に勝とうという意識が強まりレース展開も混戦になりやすいです。
グレードの高いレースでは白熱した走りを見ることができますが、落車のリスクも考えておきましょう。
落車は本当に危険!過去には死亡事故となるケースも!
競輪選手が身につける防具はヘルメットだけで、それ以外の身体部位はむき出しの状態でレースすることになります。
そのため、レースでの落車事故は想像以上に深刻なもので、落車によって骨折をしたという話も珍しくありません。
最悪のケースとして、死亡事故に繋がってしまったケースもあります。
日本で競輪が始まって以来、現在に至るまで40名以上もの競輪選手が落車事故により命を落としました。
選手名 | 事故日 | 事故会場 |
---|---|---|
福島昭亮 | 1967年4月 | 岸和田競輪場 |
東内典之 | 1992年5月17日 | 福井競輪場 |
成島勇 | 1998年7月23日 | 立川競輪場 |
服部雅春 | 2003年1月3日 | 伊東温泉競輪場 |
内田慶 | 2008年9月11日 | 一宮競輪場 |
中垣輝光 | 2010年2月15日 | 広島競輪場 |
坂本照雄 | 2012年7月7日 | 小田原競輪場 |
直近では、内田慶選手が2012年9月に落車により命を落としています。
命がけで戦っているとはいえ、実際に命を落とす選手がいるのは、競輪ファンには理解しがたい現実です。
今後、落車含め競輪での事故による死亡事故が決して起きないように祈りましょう。
【2024年度版】落車が話題となった選手をご紹介!
競輪での落車は今でも発生することがあり、全体での落車発生率は6~8%ほどと言われています。
競輪において大きなルール改正がない限り、落車事故は切っても切り離せない存在なのかもしれません。
ここでは、2024年に入ってから発生した落車で話題となった選手を以下3名に絞りました。
- 清水裕友選手
- 中野慎詞選手
- 松浦悠士選手
それぞれ紹介していきます。
清水裕友選手
※閲覧注意
S級S班に所属している清水裕友選手ですが、9月に宇都宮競輪場で開催された「共同通信社杯」3日目のレースで落車となりました。
ジャンが鳴ると同時に外側から捲りを仕掛けた清水裕友選手ですが、内側を走っていた平原康多選手に絡まり転倒。
この落車により腰椎横突起骨折と診断され、全治35日という大怪我を負ってしまいました。
約一ヶ月もトレーニングができないだけで筋力がかなり落ちるので、競輪選手にとっては大きな痛手となったでしょう。
中野慎詞選手
中野慎詞選手は競輪選手だけでなく、自転車競技選手としてオリンピックに出場という一面もある選手です。
落車となったのは、パリオリンピックの自転車男子ケイリン決勝戦でした。
日本人選手として16年ぶりに決勝まで進みましたが、最終4コーナーで相手選手の落車に巻き込まれ、転倒してしまいます。
この落車により左鎖骨を骨折し、メダルを逃してしまうという後悔が残る結果となりました。
落車に巻き込まれた側の戦績にも影響が及ぶのは、非常に残念です。
松浦悠士選手
※閲覧注意
松浦悠士選手は、3月に取手競輪場で開催された「ウィナーズカップ」の準決勝戦で落車しました。
最終コーナーから直線に曲がる所で、他の出走選手が外側に膨らみ、巻き込まれる形で転倒。
このタイミングで捲りを仕掛ける選手も多くなる分、接触のリスクが高くなると言えるでしょう。
落車により、左手薬指と小指の骨折に加えて左棘上筋の断裂と診断されました。
競輪は、常に危険と隣合わせであることがわかりますね。
競輪の落車まとめ
今回は、競輪の落車事故についてご紹介してきました。
いかがだったでしょうか。
まとめると以下の通りです。
- 競輪では落車してもゴールすれば完走扱いになる
- 落車による棄権でも選手に賞金は出る
- 落車が発生した場合の払い戻しは行われない
- 天候、級班、バンク、レースグレードによって落車発生率は変わる
- 過去には落車により死亡したケースも存在する
競輪選手というのは、結果を出せば多くの賞金を獲得できることで憧れの存在かもしれません。
しかし、実際は落車による大怪我といったリスクもある危険な競技です。
競輪を運営しているJKAも、可能な限り平等で危険の少ないレースにするためにルールの更新なども行っていることから、事故の発生率はさらに減っていくでしょう。
競輪ファンにとっても、予想した選手が落車してしまったという苦い思いをしたくないはずです。
競輪で予想する時は、落車の可能性も事前に予想しておくようにしましょう。
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