競輪の失格について徹底解説!払い戻しや失格点数までご紹介します!
競輪予想サイト解体新書の検証担当「近藤 宗康」です。
今回は競輪の失格についてご紹介します。
競輪は、公営ギャンブルとしてもスポーツとしても楽しめる魅力があります。
選手の脚力によって勝敗が左右されるので、最近では推し選手といった言葉が出てくるほどの人気っぷりです。
そんな競輪は、白熱したレースが広げられるがゆえ、落車事故等の危険も付き物。
より安全かつ平等なレースができるようルールが定められており、違反した選手は失格などの処分が課せられます。
今回は、競輪での失格について徹底解説!
失格となる規定やペナルティ・払い戻しはどうなるのかなどを深堀りしていきます。
最後には失格点数が多い選手ランキングなども紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
競輪にて失格となる規定を12項目全てご紹介!
競輪における失格とは、選手が規定に反した動きをして課せられる罰則のこと。
完走していたとしても、着位は無効となり、賞金は剥奪されます。
ここでは、競輪の競技規則に記載されている失格の判定基準12項目をそれぞれ分かりやすく解説。
どういった基準で失格対象となるのか把握するため、しっかりチェックしておきましょう。
敢闘の義務
敢闘の義務とは、他の出走選手に対する過度な牽制や勝利に徹した走りをしないなど、正当な理由なく手抜きした走りを見せる行為に対する規則です。
お金をかけたレースということもあり、意図的に勝利しようとしない走りを見せることは、場合によっては八百長などの疑いがかけられることも考えられるでしょう。
そのため、出走選手全員が勝利する意思を持って競走しなければならないといった義務が課せられています。
過失走行の禁止
過失走行の禁止とは、ふらつきなどの不注意走行をすることで、落車や自転車の破壊をする行為に対する規則です。
危険な体勢での走行は、自身の事故はもちろんのこと他の出走選手も事故に巻き込む可能性があります。
この動画では、4番車の選手がカーブなどの転倒しやすい走路でもないのにかかわらず、転倒し2番車の選手も巻き込まれています。
競走とは言え、安全面に充分配慮すべきと定められているのでしょう。
内側追抜き等の禁止
内側追抜き等の禁止とは、外帯線の内側を前走する選手に対して内側への差込み、もしくは内側からの追抜きをする行為に対する規則です。
外帯線の内側という狭い幅で追抜きをしようとすると、特にコーナー付近では接触し落車事故に繋がる危険性が大いに考えられます。
なかなか目立ちにくい禁止行為なので、レース中は気づかずにゴール後の審議アナウンスで気づくこともあります。
しかし、この行為は非常に危険なので失格対象となることは納得できますね。
外帯線内進入の禁止
外帯線内進入の禁止とは、選手同士が内圏線と外帯線の間を並走する際は外帯線の内側に入り、他の選手は外帯線の内側に移動してはいけないという規則です。
内圏線と外帯線の間の間隔は、わずか70cm。
そこに自転車が2台並走するだけでも危ないですが、そこに他の選手が近づいてくると事故に繋がるのは必然と言えるでしょう。
この行為に対し、失格という処分は妥当であると考えられます。
押圧、押し上げ、押し合いの禁止
押圧、押し上げ、押し合いの禁止とは、その名の通り出走選手が他の選手を押したり、押し合ったりする行為に対する規則です。
追い越しする際に、他の選手とぶつかることも十分に考えられるので、どこからが違反行為となるのかは、競輪場ごとの審判によって基準は異なります。
なので、悪質なものを除いて正確にジャッジするのは難しいと言えるでしょう。
この押圧、押し上げ、押し合いの禁止は失格行為の中でも頻繁に発生するので、1つずつ解説していきます。
押圧
押圧とは、走行中に他の選手に衝撃や圧迫を加えて内側に押し込む行為を指します。
競輪で禁止行為とされている中で、この押圧は最も発生しやすい行為です。
実際に第60回競輪祭という重賞レースにおいて、三谷竜生選手が押圧行為にて失格となっています。
グランプリで押圧行為が発生している考えると、通常のレースでも発生する可能性もあり得るでしょう。
押し上げ
押し上げとは、走行中に他の選手に衝撃や圧迫を加えて外側に押し出す行為を指します。
押圧と似ていますが、外側に押し出す方を「押し上げ」と覚えると間違えにくいでしょう。
このレースでは、有名選手である郡司浩平選手が押し上げ行為により失格となっています。
有名選手が失格となっていることから、それだけ押し上げ行為が発生する確率は考えられるでしょう。
押し合い
押し合いとは、走行中に2選手がお互いに衝撃や圧迫を加えてレースを妨害する行為を指します。
この行為が発生する要因として、選手が自身のラインを守るためにブロックやポジション取りを行う時に他の選手とぶつかるケースが発生しやすいからです。
押し合いとなると、お互いが衝撃を与える形になるので落車した際もかなり危険になっています。
時速70kmものスピードが出る競輪において、こういった落車は命に関わる大怪我になりかねません。
選手たちの怪我のリスクを抑えるためにも、この規則は外せないでしょう。
斜行、蛇行の禁止
斜行、蛇行の禁止とは、斜めや並上に走行することで他の出走選手の走行を妨害する行為に対する規則です。
一概に斜めに走行すると言っても、危険だと判断される走行でない限り、違反行為であると判断されません。
なので、基本的には衝突や接触を避けるためにハンドルを切ることは、失格対象にならないでしょう。
あくまで他の選手への妨害を意図していると判断された場合に、失格と判断されます。
悪質な行為であるので、失格という処分は妥当でしょう。
中割りの禁止
中割りの禁止とは、先行して並走する選手との間が安全な間隔でない場合にその間を通り抜ける行為に対する規則です。
競輪において、前方を走る選手を捲る時も差す時も外側から仕掛けることが一般的です。
そのため、そもそも選手が並走する間をくぐり抜けることは多くありません。
そんな中割りが見事に決まったレースがこちらです。
この場合での中割りは、並走選手との間に追い越すための安全な距離があったため、違反行為とはなりませんでした。
中割りといっても、並列する選手間を追い越す行為がすべて違反行為となるわけではないことを押さえておきましょう。
内圏線踏切りの禁止
内圏線踏切りの禁止とは、走行選手が一定時間以上バンクの内圏線の内側を走行する行為に対する規則です。
最終直線で前方選手を差し込む場合を除いて、内圏線の内側を一瞬入ったとしても失格対象にはなりません。
スタートから最終周回バックストレッチラインまでは6秒程度以上、それ以降は4秒程度以上を走行した場合に失格対象となります。
他の選手に絡まず失格対象となるという点においては、他の失格行為の中でも珍しいと言えるでしょう。
イエロー・ライン踏切りの禁止
イエロー・ライン踏切りの禁止とは、先頭選手がバンクで決められた位置から最終周回バックストレッチラインの間において、イエローラインの外側を走行する行為に対する規則です。
一瞬イエローラインの外側を出てしまう分には禁止行為には該当しませんが、2秒以上続けて走行すると対象となります。
これは、外側から捲る選手をブロック・牽制するために先頭選手がイエローラインの外側まで膨れることを防ぐための規則だと考えられます。
この規則については賛否両論ありますが、選手の安全性を確保する意味では妥当でしょう。
先頭員早期追抜きの禁止
先頭員早期追抜きの禁止とは、選手が先頭員に決められた位置に到達するまでは、先頭員を追い抜いてはいけないという規則です。
先頭員に決められた位置は、400バンクは残り2周まで・333バンクは残り2周半まで・500バンクは残り1周半までとなっています。
この規則は2019年に改正され、先頭員の安全を確保するため、より早い上記段階まで先頭員を抜くことができなくなりました。
中継で見ると、僅かな差なのでわかりにくいですが、スロー再生だと早期追い抜きしていることがはっきりしています。
早く仕掛けたいという選手の気持ちも分かりますが、誘導員の安全ためにも定められている規定なのでしょう。
先頭員に対する妨害等の禁止
先頭員に対する妨害等の禁止とは、選手が誘導中又は退避中の先頭員に対して、妨害行為や危険性の高い行為をすることに対する規則です。
この規則も、JKAから2019年に失格基準の改正がされています。
改正内容としては、先頭員追い抜き失格ゾーンでの妨害行為が重大走行注意だったのが、失格扱いとなったことです。
先頭員の安全の保証のためにも、この規則は必要であると言えるでしょう。
周回誤認
周回誤認とは、選手が周回数を誤認したことで、自身の能力を発揮できなかったことに対する規則です。
滅多に起こることはありませんが、失格規定の1つとして記載されています。
女子ケイリンになりますが、パリオリンピック2024にて残り1周で鳴るはずの打鐘がならず、選手達がそのまま走り続けた珍事件もありました。
打鐘があるため、間違える選手は滅多にいませんが、念の為規定が設けられているのでしょう。
点数が多いと斡旋停止?失格で課せられるペナルティをご紹介!
ここまで、競輪レースで失格行為となる規定について紹介しました。
では、実際に失格で課せられるペナルティにはどういったものがあるのでしょうか。
失格によるペナルティは、以下7つに分けられます。
- 斡旋停止
- 特別指導訓練を受ける
- 斡旋しない処置を受ける可能性
- 失格点が加算
- 違反点が加算
- 次の日以降のレースに出場できない
- レースの賞金と順位が剥奪
この中でも代表的なものを詳しく解説していきます。
斡旋停止
斡旋停止は、レースへの出場が停止されてしまうことです。
競輪選手にとって斡旋停止とは、仕事をする機会が奪われてしまうので、一番重いペナルティと言っても過言ではないでしょう。
失格と判断された行為が悪質なものであったり、同様の違反行為を続けて行った場合などに斡旋停止の判断がされます。
例として、新田祐大選手は2024年4月に開催されたG1にて先頭員早期追い抜きにより、3ヶ月の斡旋停止処分を受けました。
このように有名選手でも斡旋停止処分を受けることもあるので、斡旋停止は現実的であることが分かります。
特別指導訓練を受ける
違反点数の累計点が90点を超えた選手は、特別指導訓練を受けることになります。
特別指導訓練の内容は、静岡県伊豆市にある日本競輪選手養成所で実施され、5泊6日の間に講義と実技訓練を受けなければいけません。
その間かかる受講費や交通費などは全て選手負担となっており、携帯電話の持ち込みも禁止されています。
競輪でのペナルティの中でも過酷なものの1つと言えるでしょう。
また、これとは別に「お寺」と呼ばれる特別指導訓練が存在します。
これも5泊6日という期間ですが、座禅や精進料理などお坊さんと同じような生活を送る修行のような訓練です。
いずれも競輪選手たちが恐れるペナルティとなっています。
斡旋しない処置を受ける可能性
選手が連続する4ヶ月の間で120点以上の違反点を付与された場合、斡旋しない処置を受ける可能性があります。
斡旋しない期間については、下記の通りです。
合計違反点数 | 斡旋停止期間 |
---|---|
120点以上 | 1ヶ月間 |
150点以上 | 2ヶ月間 |
180点以上 | 3ヶ月間 |
上記違反点数を超えた場合、必ず斡旋停止という措置をとられることになります。
例えば、4ヶ月間の中で違反点数が30点の「失格」を4回違反すると合計120点となり、1ヶ月間の斡旋しない処置を受けるというイメージです。
違反行為が如何に悪質なのかにもよりますが、連続で違反行為をする選手を防ぐために必要なペナルティと言えるでしょう。
失格点が加算
失格行為をすると、1回につき3点の失格点が加算されます。
この失格点は、競輪選手の来季の級班が決められる上で、加算されるものです。
来季の級班が算出される計算式は、以下の通りになります。
平均競走得点−失格点(失格回数×3)
失格点が重なると、来季に降格してしまう可能性も十分に考えられます。
実際にあったケースとして、神山尚選手は2024年6月末まではS級2班として活動していました。
しかし、その期間に2回の失格をしてしまい、7月からはA級3班まで降格に。
上位の級班を目指す上でも、失格行為を極力抑えることは欠かせないでしょう。
違反点が加算
レースで違反した選手は、その違反内容に応じて違反点数が付与されます。
違反点数の内容は、以下の通りです。
違反行為 | 違反点数 |
---|---|
点数走行注意 | 2点 |
重大走行注意 | 10点 |
失格 | 30点 |
4ヶ月毎に、上記違反点数が集計される決まりです。
特に「失格」においては、違反点数が30点と飛び抜けて高くなっています。
それだけ失格という行為は問題視されていると言えるでしょう。
次の日以降のレースに出場できない
失格となった選手は、該当レースだけでなく次の日以降のレースにも出場できなくなります。
賞金を獲得できる機会や仕事を奪われてしまうことになるので、選手にとっては大きな痛手となるでしょう。
例えば、大会の初日などに翌日以降のレースに出場できなくなる処分が下されると、2日目以降のレースに参加できなくなります。
この点が、斡旋停止処分との違いとなり、選手にとっては努力が水の泡となることに。
競輪のペナルティの中でも、非常に厳格であると言えます。
レースの賞金と順位が剥奪
失格対象となった選手のペナルティに、該当レースの賞金と順位が剥奪されるというものもあります。
つまり、走ったレースが成績にカウントされないということです。
失格選手の着順が1着だった場合、2着だった選手が繰り上がりで1着となります。
ただ失格点と違反点が付与されるだけなので、選手にとっては非常に痛手と言えるでしょう。
競輪で失格すると払い戻しはどうなる?
競輪で失格行為をすると、様々なペナルティが待ち受けていることがわかりました。
ここで、競輪を応援する立場になって考えてみましょう。
もし、自身が買い目に入れていた選手が失格となった場合、払い戻しはどうなるのでしょうか?
答えは、選手が失格となった際の払い戻しは行われません。
これは選手側と車券購入者側の癒着を防ぐためだと考えられます。
車券を購入する側にとっても、失格はメリットが何一つないと言えるでしょう。
事前に失格の多い選手をチェックしておくことで、こういったことから回避することも検討してください。
出走選手全員が失格?!珍事件をご紹介!
競輪は、365日毎日レースが開催されています。
全国の競輪会場数が43場あることも考えると、数多くのレースが実施されていることが分かるでしょう。
そんな中でも、普通だったらありえないような珍事件も発生することがあります。
ここでは、ある意味奇跡とも呼べるようなレースの1つをご紹介。
これは、2008年12月にいわき平で開催されたレースです。
4番車が先頭に立ち単騎で走る配置で走行する中、後方の2・5番車は追わずに牽制し続けます。
他の選手も4番車を追おうとはせず、100m以上の距離を空けたままレースが終了。
4番車については、イエローライン踏切の禁止により失格し、他の8名の選手は敢闘の義務を怠ったことで失格となりました。
レース後に4番車以外の選手達は、4番車が失格行為を行ったことで追走する必要がないと判断した見解があったそうです。
しかし、最終的に失格判定を下すのは審判員であり、失格があったとしてもレースを最後まで競走する必要があります。
観戦していた人達にも、大きな衝撃を与えたレースだと言えるでしょう。
失格点数が高い選手を予想する際は注意しよう!
勝率が高い選手を買い目に入れて予想したとしても、仮に失格すればその車券はただの紙切れになってしまします。
こういったことを防ぐために、事前にどれくらい失格しているかチェックするべきでしょう。
選手の失格した回数については、「KEIRIN.JP」にて直近4ヶ月の成績のページから確認することができます。
失格内容にもよりますが、直近4ヶ月成績で失格回数が3回以上の選手についてはリスクが高いので、予想から外すことも考慮すべきです。
失格回数が多い選手を車券に絡める際は、注意しましょう。
【2024年09月更新】失格点数が高い選手ランキング
ここでは、直近での失格点数が高い競輪選手のランキングをご紹介!
失格回数が多い選手は、また失格を重ねる可能性も考えられます。
ここで紹介する情報は競輪予想をする上でも役に立つ内容になるので、ぜひ参考にしてください。
第3位「坂井 洋選手」
期 | 選手名 | 都道府県 | 点数合計 |
---|---|---|---|
115 | 坂井 洋 | 栃木県 | 108 |
坂井洋選手は、直近4ヶ月で1度の失格の判定をされています。
失格内容は「内抜き行為」によるものでした。
競輪において、スタート直後の初手の位置取りは重要な要素です。
しかし、内抜き行為は落車の危険性が高く、他の選手にもぶつかる可能性も高いので違反行為とされています。
第2位「鶴 良生選手」
期 | 選手名 | 都道府県 | 点数合計 |
---|---|---|---|
111 | 鶴 良生 | 福岡県 | 110 |
鶴良生選手は、直近4ヶ月で1度の失格判定を受けています。
失格内容は「押し上げ」です。
番手からの捲りをブロックする際に、相手選手を押しすぎたことで失格となりました。
鶴良生選手も違反点数が90点超えなので、特別指導訓練を受講する必要があります。
第1位「鈴木 美教選手」
期 | 選手名 | 都道府県 | 点数合計 |
---|---|---|---|
112 | 鈴木 美教 | 静岡県 | 120 |
鈴木美教選手は、ガールズケイリンの選手です。
直近4ヶ月で失格判定はされていませんが、重大走行注意が重なり、違反点数が120点という結果に。
違反点数120点以上の条件を満たすので、1ヶ月の斡旋停止期間が現実的です。
また、2019年にも妨害行為などにより、斡旋停止処分を受けています。
安全で公平なレースを続けてくれることを祈りましょう。
競輪の失格まとめ
今回は、競輪の失格についてご紹介しました。
いかがだったでしょうか。
内容をまとめると、以下の通りです。
- 最も発生する違反は「押圧、押し上げ、押し合い」
- 違反行為が如何に悪質かで失格か決まる
- 違反点数が積み重なると斡旋停止や特別指導訓練などのペナルティが課される
- 競輪では失格による払い戻しはされない
- 競輪予想する際にも失格の多い選手は要注意
競輪では、積み重なる違反行為・失格には厳格な処分が下されます。
競輪ファンにとっても選手の失格は悲しいものです。
激しい攻防戦のある競輪だからこそ、ルールや規定を守ったレースを見せてほしいですね!
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